Rさん(仮名・27歳女性・東京都在住・Web系企業の事務職)から届いた話。LINEオープンチャットで知った副業コミュニティから個別DMを受け、3週間のやり取りを経て38万円の副業教材を契約した経緯。LINEオプチャ詐欺の典型パターンを、副業詐欺の見抜き方の観点で記録する。
X(Twitter)でオプチャを見つけた経緯
2025年2月、Rさんは『副業 在宅』のキーワードでX検索をしていた。
『コロナ後、会社員の収入だけだと将来の家計が不安で、在宅でできる副業を探していました。Xには副業情報を発信するアカウントが大量にあって、そのうちの一つから『LINEオープンチャット参加者限定で無料の副業情報を共有しています』というツイートを見つけました』
ツイートには参加リンクが貼られていた。参加者数は約1,200名。
『参加者数が多くて、雰囲気が健全に見えました。最初の1週間は参加者同士の質問と回答が中心で、特に怪しい雰囲気はありませんでした』
管理人からの個別DM
参加から10日後、Rさんはオプチャの中で『副業を始めたいけど、何から始めればいいか分からない』というコメントをした。
その日のうちに、オプチャの管理人を名乗るアカウントから個別DMが届いた。
『管理人の自己紹介:30代男性、元大手IT企業勤務、副業で月収100万円達成、現在は副業コーチングを本業として運営、と自己紹介がありました。私の状況を丁寧に聞いてくれて、共感してくれる雰囲気でした』
3週間のDM交換
個別DMでのやり取りが始まった。
1週目は、Rさんの仕事内容・収入・家計の状況・将来の不安・副業の経験などを丁寧に聞いてくれた。
2週目には、管理人の過去の副業実績の話、月収100万円達成までの経緯、現在のクライアント例、などが話題に上った。
『この週から、私は管理人の話を信頼するようになりました。話の内容に具体性があって、過去の実績を語る際の数字も詳しかったです。後から振り返ると、その『具体性』が罠だったと気付きました』
3週目に入って、管理人から『副業基礎プログラム』の案内があった。
提示された教材内容
提案された教材の概要:
- 料金:38万円(一括 or 分割6回・月6.5万円)
- 内容:副業基礎動画教材30時間+個別Zoomコーチング3か月(週1回)+Slack質問対応
- サポート期間:3か月
- 『3か月で月10万円の副業収入達成』を目標として設定
- 過去の受講生の成功例:『未経験から3か月で月15万円』『6か月で会社員時代の収入を超えた』などの体験談紹介
- 『今月末までの特別価格』として、通常58万円から38万円への20万円割引
『私は2週間検討して、貯金から38万円を一括で支払いました。彼氏には『副業の勉強会』とだけ伝えました』
1か月目、教材内容を確認
2025年3月、Rさんは教材へのアクセス権を受け取った。
動画教材30時間を視聴し始めて、Rさんは違和感を持った。
『内容は『Webライティングの基礎』『SNS発信の方法』『クラウドソーシングの登録方法』『ペルソナ設計』『SEOの基本』など、Webで検索すれば無料で見られる範囲の情報がほとんどでした。『独自の手法』として強調されていた部分も、後から調べたらYouTubeに同じ内容の解説動画が複数公開されていました』
個別Zoomコーチングは、Rさんの状況をヒアリングして、副業の方向性を一緒に考えるというものだった。
『コーチングの内容は丁寧でしたが、結局のところ『クラウドソーシングサイトに登録して案件を取りに行きましょう』という結論で、具体的な案件獲得の方法は『試行錯誤しながら学ぶ』という抽象的な指示でした』
3か月目、副業の実績
2025年5月、3か月のサポート期間が終了した。
Rさんの3か月の副業実績は以下。
- クラウドソーシング登録:3サイト(クラウドワークス・ランサーズ・ココナラ)
- 応募件数:累計80件
- 受注件数:3件
- 累計収益:約7,500円
『教材で約束されていた『3か月で月10万円』とは桁違いの結果でした。投資した38万円を回収するには、月の副業収入が10万円のペースで4年弱の継続が必要な計算です』
運営からの上位プラン勧誘
サポート期間終了の翌週、運営から『上位プログラム』の案内が届いた。
『提案された上位プログラムは『マスタープログラム』で料金は98万円。期間6か月。『個別の案件獲得サポートと、運営側からの直接案件紹介』が売りでした。これに切り替えれば確実に月収30万円達成できる、との説明でした』
Rさんは『最初の38万円で月10万円に届かなかった自分が、98万円払って6か月で月30万円達成できる根拠はどこにあるんですか』と質問した。
『運営からの回答は『成功者は皆さん上位プログラムに切り替えている』『成果が出ない方は途中で諦めている方が多い』という抽象的なものでした。具体的な根拠の提示はありませんでした』
消費生活センターへの相談
2025年6月、Rさんは消費生活センター(188)に相談した。
『相談員から『LINEオープンチャット起点の典型的な情報商材手口』との指摘がありました。X→LINEオプチャ→個別DM→信頼関係構築→有料教材販売、というルートは、最近の副業詐欺で最も多いパターンの一つ、と』
相談員からは、契約書の有無、教材の中身、勧誘時の発言記録、上位プラン勧誘のメッセージ履歴を保管しておくよう案内された。
『クーリングオフ期間(契約から8日間)を過ぎていたため、返金交渉は厳しいが、不実告知の立証ができれば部分返金の余地が残る、との説明でした』
彼氏への打ち明け
2025年7月、Rさんは彼氏に38万円の経緯を打ち明けた。
『彼氏から『なんで一人で決めたの』と言われました。同じ言葉を、別の副業詐欺の事例で何度も見たことのある言葉でした』
彼氏との話し合いで、Rさんは家計の透明化を提案された。
『これからは、副業や投資の判断は、必ず彼氏に共有してから決める、というルールにしました。一人で決めない、というのが、私の中で再構築の第一歩になりました』
振り返り:副業詐欺の見抜き方
Rさんは取材の中で、副業詐欺を見抜くサインを4つ挙げた。
『1)X→LINEオプチャ→個別DM の流れが入口、2)管理人や成功者の自己紹介が『元大手IT企業』『月収100万円』など具体的な肩書きと数字で構成されている、3)『今月末まで限定価格』など即決を求める価格設計、4)教材の中身が確認できない状態で契約を求められる』
『この4つのサインが3つ以上揃ったら、その時点で抜ける判断が現実的、というのが、私の体験から言える教訓です』
LINEオープンチャットの『副業情報無料配布』は、参加者集めの入口として設計されているケースが多い。オプチャ内で完結する取引なら不要、個別DM誘導が前提なら一度立ち止まる判断が現実的。教材の中身が契約前に確認できない構造は、副業詐欺の典型サイン。
取材時点の判断
2025年8月、Rさんは副業の継続を諦めず、独学で続けている。
『クラウドソーシングは継続中、新規の高額スクール契約は禁止、彼氏との家計共有スプレッドシートで全ての金銭判断を共有しています。月の副業収入はまだ1万円〜2万円程度ですが、独学で積み上げている分、納得感があります』
X上の副業情報アカウントは大量にフォロー解除済み。LINEオープンチャットも全て退会済み、と。